フランス語文法の鬼門!難しい関係代名詞をわかりやすく解説します
英語と同じように、フランス語にも関係代名詞があります。
とはいえ、文法用語として知ってはいるものの、どのような用途で使うのかがピンと来ない人もいるかもしれません。
関係代名詞の主な用途は、「二つの文章をつなげることで、より自然な文章をつくる」ことです。
これができると、フランス語でコミュニケーションがよりスムーズになりますよ。
ぜひ一つでも覚えて使ってみてください。
関係代名詞を説明するときは、専門的な文法用語が用いられることが多いです。
勉強すればするほど頭がこんがらがって、結局諦めたり、いつまで経っても理解できないままになったりしてしまいがちです。
ですから、ここでは、各種の関係代名詞がどのように使われるのかを理解することを目的とします。
実践的な使い分けに困っていて、会話で使っていきたいと考えている方にとって有益な情報になると思います。
【フランス語文法を1分で】名詞のあとに情報を追加できるのが関係代名詞!
復習したい方も、「関係代名詞ってなんだったっけ?」という方も、まずはこちらの動画をご覧ください。
関係代名詞がどのように会話で使われるか、1分の動画でわかっていただけると思います。
動画の中では、qui, queが出てきましたね。
この二つが、関係代名詞で最も使われるものです。
まず、関係代名詞を大きく2つに分けて考えましょう。
- 【主語】として振る舞うQuiと、
- 【目的語】に対して追加情報を入れるためのQue, Dont, Oùです。
どちらも共通しているのは、直前の名詞について情報を追加できることです。
①Quiは主語になりきるので、追加で主語は使えません。
②Que, Dont, Oùは、主語を新たに追加できます。
つまり両者の違いは、「①直前の名詞を主語として情報を追加」するか、「②新たな主語からはじまる文章で情報を追加」するかです。
このことを踏まえて、各語の説明に入ります。
Qui は、続く文の主語となる名詞の役割を担います。
例 : Je vais voir mon ami qui rentre de Tokyo. / 私は、東京から帰ってくる友達に会いにいきます。
この文章は、二つの文章が合わさってできています。
Je vais voir mon ami. + Mon ami rentre de Tokyo.
私は友達に会いに行きます+私の友達が東京から帰ってきます
このとき、私の友達という部分が重複するので、二つの文章をQuiを使って一つにできます。
Quiを名詞の直後に入れることによって、その名詞を主語として追加情報を入れることができるというわけです。
直前の名詞を特定せずに文章をつくることもできます。
例:Je vais voir ce qui s’est passé. / 何が起きたかみてきます。
上記の例では、何が起きたかを説明していないですよね。
対して、以下の例では、何が起きたか説明されています。
例:L’accident qui s’est passé hier passe à la télé. / 昨日起きた事故がテレビで報道されている。
Queは続く文で修飾する目的語の役割を担います。
例 : C’est le drama que je regarde en ce moment. / 最近見ているドラマです。
最初の文章に、後から情報を加えています。
C’est le drama. + Je regarde ce drama en ce moment.
ドラマです+最近このドラマを見ています。
このとき、このドラマという部分が重複するので、二つの文章をQueを使って一つにします。
Queを名詞の直後に入れることによって、その名詞に追加情報を入れることができるというわけです。
*Queは、母音の前でqu’となることに注意しましょう。
例:C’est le vélo qu’il utilise pour le travail.
Dontは、deがつく補語に置き換わることができます。
言い換えると、追加説明のときに”de+補語”と続く動詞が使われる場合、QueではなくDontを使います。
例文を見てみましょう。
例 : C’est le restaurant dont je t’ai parlé hier. / これが昨日あなたに話したレストランです。
直前の名詞に、後から情報を加えている点は同じですね。
C’est le restaurant. + Je t’ai parlé de ce restaurant hier.
レストランです+昨日、私はあなたにこのレストランについて話しました。
このとき、レストランという部分が重複するので、二つの文章を一つにつなげたいですよね。
主語から始まる追加情報を加えたいので、通常ならQueでつなげますよね。
しかし、追加文で使われている動詞は、parlerですね。
「〜について話す」は本来、”parler de 〜”です。ここではparler以降を省略しているのです。
このとき、Queの代わりにDontを使って、追加情報を入れることになります。
Oùは、場所や時間の補語に置き換わることができます。
言い換えると、場所・時間に関する直前の名詞に対して追加情報を加えるときは、QueではなくOùを使います。
例文を見てみましょう。
例 : C’est la marie où il travaille. / 彼が働いている役所です。(場所)
最初の文章に、後から場所に関する情報を加えています。
C’est la marie. + Il travaille à cette marie.
役所です+彼はこの 役所で働いています。
このとき、 役所という部分が重複するので、二つの文章を一つにつなげたいところです。
主語から始まる追加情報を加えたいので、通常ならQueでつなげますが、 場所に関する追加説明なので、Oùを使います。
次の例文はどうでしょうか。
例: L’année où je suis venu à Tokyo, les jeux olympiques ont eu lieu. / 私が東京にきた年に、オリンピックが開催された。(時間)
最初に時間を示して、あとから情報を加えています。
この場合もQueではなく、時間に関する追加説明なのでOùを使います。
à quiやà quoiは、àがつく補語に置き換わることができます。
言い換えると、追加説明のときに”à+補語”と続く動詞が使われる場合、Queではなくこれらを使います。
例文を見てみましょう。
例 : C’est ce à quoi j’ai pensé toute la journée. / これは私が一日中考えていたことです。
C’est Paul à qui j’ai pensé pour le poste de manager. / 私がマネージャーの役職に考えていたのはポールです。
直前の名詞に後から情報を加えていますが、à quoiはものに対して、à quiは人に対して使われます。
しかし、追加文で使われている動詞は、penserですね。
「〜について考える」は本来、”penser à 〜”です。ここではpenser以降を省略しているのです。
このとき、à quoi または à quiを使って、追加情報を入れることになります。
直前の名詞を特定せずに文章をつくることもできます。
例:Je vais voir ce qu’il y a dans le frigo. / 冷蔵庫に何があるか見てきます。
上記の例では、何が冷蔵庫にあるかを説明していないですよね。
このとき、Ce queを使って追加情報をいれます。
“de+補語”と続く動詞が使われる場合は、Ce dontを使います。
例:Je t’ai raconté ce dont je me souviens. / 覚えていることは話したよ。
本来、Je me souviens de 〜の形をとるのでCe dontが使われます。
ここからは難しくなるので、すでに頭がこんがらがってきた人は、今勉強しなくても大丈夫です。
相手も自分も何について話しているかわかっているとき、関係代名詞は直前の名詞の性と数に一致させます。
通常 | 動詞+補語+de | 動詞+補語+à | |
---|---|---|---|
男性名詞 | lequel | duquel | auquel |
女性名詞 | laquelle | de laquelle | à laquelle |
男性複数 | lesquels | desquels | auxquels |
女性複数 | lesquelles | desquelles | auxquelles |
例:Il a cassé le parapluie hier. Il m’a montré lequel il a cassé. / 彼は昨日傘を壊したらしい。どれを壊したか見せてくれた。
Il a vu nos photos de voyage. Il va nous dire laquelle lui a plu. / 彼は私たちの旅行の写真を見たそうだ。どれが気に入ったか教えてくれるらしい。
Parmi les appartements qu’on a visité, dis-moi lequel tu préfères. / 見て回ったアパートの中で、どれが一番気に入ったか教えてよ。
Les chiens à côté desquels je me suis assis n’étaient pas contents. / 私が座った場所の横にいた犬は不機嫌だった。
C’est une terrible histoire à laquelle il faut faire face. / 直面しなければいけない残酷な歴史です。
lequel, laquelleは前置詞と一緒に使うこともできます。
例:
C’est la voiture avec laquelle il a eu un accident. / 彼が事故をした車はこれです。
この記事では、フランス語の関係代名詞の種類をおおまかに説明しました。
最後の方は、覚えることが多すぎて不安になったかもしれませんね。
これらを全部一度に覚えようとすると、混乱してしまい、結局会話で使えないということになりかねません。
ですから、まずは”最もよく使われるものだけ”積極的に使っていきましょう。
その上で間違っていたとしても、「ネイティブの表現から学んだり、直してもらえばいい」というくらいの気持ちで、まずは気楽に会話を楽しむことをオススメします。
最低限、押さえておきたいのはこちらです。
- 関係代名詞は、直前の名詞に追加の説明を加えるもの
- « qui »は、主語になりきり、動詞を伴って文を続けられる
- « que »は、新たな主語+動詞の形で文を加えられる
- « où »は、場所と時間に関する名詞に対して、追加情報を入れるときに使う
“dont”や”lequel, laquelle, lesquels, lesquelles”などは、慣用句や表現として丸覚えして、リズムでフレーズごと覚えて使った方がいいと思います。
関係代名詞には種類が多く、ミスなしで話すことはとても難しいです。
また、文法に集中しすぎると言葉が出なくなってしまいます。
本来の目的は、フランス語を話し、ネイティブと交流することですよね。
文法はその目的達成のための手段でしかないのです。
ですから、ある程度割り切って、小さなミスを諦めて会話の瞬発力を鍛えることの方をオススメします。
瞬発的な発言力を鍛えると、結果的にネイティブとの会話量が増えます。
そうすると、インプットとアウトプットの機会が自然に増えるのです。
大体の部分だけ理解して、実践で覚えていくことをオススメします。
それでは、今日もフランス語学習、お疲れさまでした!